このサイトでは、自分が死ぬ前、元気なうちに、自分の人生が終わるときに起こりうるさまざまな問題を片付けておくという意味で、『人生の前始末』という言葉を使っています。
「財産情報をまとめておきましょう」というと、「通帳や印鑑は一ヶ所にまとめているから大丈夫」とおっしゃる方がいますが、財産は預貯金だけではありません。
ほとんどの人が預貯金以外にも数種類の財産を持っています。
しかし、そのすべての情報を不足なく、スラスラと列挙できる人は少ないはずです。
この記事では、『人生の前始末』でまとめておくべき主な財産の種類と、財産情報をまとめておくメリットについて説明します。
主な財産の種類一覧
『人生の前始末』でまとめておくべき財産情報は以下の通りです。
- 預貯金
- 有価証券(株式、債券、投資信託など)
- 不動産
- 生命保険、損害保険、共済など
- ゴルフ会員権、美術品・宝飾品などその他の財産
- 年金
- 人に貸しているお金(貸付金)
- 【重要】借金や各種ローンなどの債務
- 【重要】連帯保証人
- 貸金庫
- (クレジットカード類)
- (ポイント類)
あまりに項目が多くて、すでに嫌になってきたのではありませんか?
あなたがそう感じるのであれば、家族はもっと面倒に思うはずです。
夫まかせ、妻まかせではいけません。
財産を把握する作業は非常に大変な作業ですが、ここは気合を入れて一つずつ片づけていきましょう。
(具体的にどのような情報をまとめればよいのかは、項目ごとに別の記事でご説明します)
財産情報をまとめておくメリット
あなたの意識がしっかりしているうちに財産情報をまとめておくメリットはたくさんあります。
残された家族の負担を減らす
同居している家族だからといって、あなたが取引している金融機関や、加入している生命保険、自宅とは別に所有している不動産のことまで、正確に把握しているとは限りません。
ましてや、独立してしばらくたつお子さんはわからないことだらけでしょう。
下記の記事でも触れましたが、あなたが亡くなった場合、残された家族は死後3ヶ月以内に財産を相続するかどうか判断しなければなりません。
そのときに、まったく情報がなかったらどうなるでしょうか?
日頃から大事なモノがどこにあるか共有していれば、見当がつくかもしれません。
しかし、そうでなければ、通帳や印鑑がどこに保管してあるかも把握していない可能性があります。
その場合、あなたの財布やバッグ、机やタンスの引き出し、本棚などを片っ端から開けて、通帳や取引明細などを探すことになります。
取引の可能性のある金融機関全てに問い合わせたり、「昔この会社の保険の話をしていたな」とすでに解約した保険会社に連絡したり、無駄な作業も増えるでしょう。
また、仮に通帳を見つけたとしても、それはあなたの持っている銀行口座の一部でしかないかもしれません。
存在を知らない口座のお金を家族が請求することはできませんので、そこにあるお金は一生返ってきません。
死後に口座を調べるとなると、お金も時間も手間もかかります。
ご存知の通り、銀行や証券会社などの手続きには厳格な本人確認が求められます。
当然ですが、電話では教えてもらえません。直接各銀行に出向く必要があります。
死後に口座を調べる場合には、本人が亡くなったことを証明する書類や、自分が相続人であることを証明する書類などが必要です。
あなたの財産は、あなたが一番把握しています。あなたしか知らない情報もあるはずです。
食器棚の中に隠してある現金や、家族に内緒でへそくりを貯めている銀行口座はありませんか?
家族に言えない借金や、ついつい使いすぎてしまったキャッシングの返済が残っていませんか?
生きているうちに打ち明けることができなくても、情報だけはきちんと残しておきましょう。
あなたが財産情報を残しておくことで、家族が手にするお金が減る、負債を相続する、といった事態を防ぐことができます。
残された家族の負担も確実に減るのです。
自分でも忘れていた財産を発見するかも?
財産をまとめているうちに、自分でも忘れていた財産を発見することがあります。
忘れていた銀行口座に定期預金があった、こんな保険にも加入していた、そんな発見があればラッキーですね。
老後の資金に不安がある人は、生活を見直すきっかけになる
「老後2000万円問題」が話題になったように、老後にはある程度の蓄えが必要です。
現役でバリバリ働いていた頃と同じような生活を送っていると、老後貧乏になってしまう可能性があります。
老後の資金に不安のある方は、このタイミングで、現在の財産がどの程度で、月々の収入と支出がどのくらいか、いつまでローンの返済が続くのか、など再確認しておくことをおすすめします。
財産状況を把握することで、今の生活を続けてよいのか、収入を増やす必要があるのか、支出を減らすべきなのかなど、生活を見直すきっかけになるはずです。
どの財産を誰に継いでもらいたいかを考える資料になる
自分の財産の概略が分かれば、どの財産を誰に継いでもらいたいかを考えるときの資料になります。
遺言書を作成しようと思っているのであれば、必ず全財産を把握していたほうがよいでしょう。
残念ながら、どんなに仲のよい家族でも相続が原因でもめることはよくあります。
バランスのよい配分を考えておけば、相続時の無駄な争いを避けられるかもしれません。
また、バランスよく配分できない場合でも、あなたの希望を伝えておくことで、家族の理解を得られる可能性もあります。
財産情報の把握は年に一度アップデートしよう
財産の把握は、一度やってしまえば終わりではありません。
財産状況は流動的ですので、年に一度は情報を更新しましょう。
初回はかなり大変な作業になりますが、一度きちんと整理してしまえば、2年目以降はそれほど難しくはないはずです。
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