不動産の情報をまとめましょう。
この記事では、財産情報の整理の目標「1. 財産目録を作成する」に関連して、不動産の目録(一覧表)を作成することが目標です。
上記記事でも触れた「1. 財産目録を作成する」ための3ステップ、『あつめる・書きだす・整理する』に沿って実行していきます。
- 資料となる書類などを集める(あつめる)
- 情報を一覧に書き出す(書きだす)
- 内容を見直し、必要があれば整理する(整理する)
【あつめる】固定資産税の課税明細書などの関係書類をあつめる
まず、固定資産税の納税通知書、不動産登記簿謄本(登記事項証明書)、登記識別情報(昔の登記済権利証、いわゆる「権利書」)など、不動産に関係する手持ちの資料を全て集めてください。
この中で一番身近なものは、固定資産税の納税通知書でしょう。
固定資産税の納税通知書とは、税額や納付時期などを納税者に知らせる文書のことで、各市町村から毎年概ね4~6月頃に送付されてきます。
納税通知書には、当該年度に課税の対象となる固定資産(土地・家屋)の内訳が記載されている課税明細書が添付されています。
所有する不動産、すべて把握できていますか?
しかし、固定資産税の納税通知書だけでは所有しているすべての不動産を把握することはできません!
固定資産税の納税通知書で全ての不動産が把握できない理由は、以下の2つの可能性があるからです。
- 固定資産税の納税通知書がそもそも送付されてこない
- 納税通知書は送付されてくるが、課税明細書に一部の物件が記載されていない
↓詳しくはこちらの記事で解説しています↓


把握できていない不動産として多いのは、自宅に隣接している非課税の私道、評価額の低い農地や山林・原野、複数人で共有している不動産などです。
所有する不動産を調べるのに最適なのは「名寄帳」
所有している不動産を調べるためには、役所で「名寄帳」という書類を取得するのがおすすめです。
名寄帳を取得することで、自分が把握できていない不動産を探すことができます。
名寄帳は、次の項目で作成する一覧表としても使えます。
【書きだす】所有する不動産の一覧表を作成する
一覧表を作るときに必要な情報は以下の通りです。
- 物件内容(土地・建物・マンション・田畑・その他)
- 【市町村名は必須】住所
- 登記簿上の所在地
- 用途(自宅・別荘・投資用・その他)
- 名義・持ち分(自己所有、共有、その他)
- 備考
前述した「名寄帳」を取得すれば、これらの項目のほとんどが記載されていますので簡単です。
不動産の所在地の「市町村名」は必須!
この中で必須なのは、住所(登記簿上の所在地)の「市町村名」です。
自宅については家族も分かっているでしょうが、それ以外の不動産については詳細を知らない場合があります。
相続の際、故人が所有していた不動産が分からないときに取得するのも、先ほどご紹介した「名寄帳」です。
記事内でも説明しましたが、不動産が所在する「市町村名」さえわかれば、名寄帳を取得して不動産を確認することができます。
そのため、自宅とは別の市町村に別荘や畑を買った、地元に相続した不動産があるといった場合は、最低限「市町村名」は家族にわかるようにしておかなければなりません。
すべての不動産を把握しておらず漏れがあると、遺産分割協議、相続税の申告、相続登記(名義変更)などのやり直しが必要となり、二度手間になります。
そのような事態を避けるためにも、あなた自身が所有する不動産を把握しておきましょう。
複数人で所有している「共有不動産」は見逃しやすいので注意
不動産は必ずしも100%自己所有とは限りません。
相続した土地や新築した自宅を家族と共有している場合もありますし、マンションの共有部分や自宅前の私道を近隣住民などの第三者と共有していることもあります。
共有名義の不動産は、納税通知書が送付されなかったり、細々した不動産のことも多く、見落とされるケースがありますので注意が必要です。
また、共有名義の場合、名寄帳は個人とは別に申請する必要がありますし、申請に共有代表者名や地番を求められる場合があったりと、少々手続きが面倒になる可能性があります。
共有不動産がある場合、「5. 名義・持ち分」のところに共有者の名前や持ち分(割合)について記入しておきましょう。
連絡先がわかるようであれば、何かあったときに連絡を取りやすいよう書いておくとよいです。
【整理する】守る?活用する?処分する?その他確認すべき点は?
自分の所有する不動産をすべて把握できたら、今後それらをどうするか考えてみてください。
不動産は相続財産の中でも大きなウェイトを占めます。
財産が不動産のみで現金がほとんどない、相続する人が複数人いる、所有する複数の不動産で評価額に差があるといった場合には、相続の際に揉める原因となりえます。
また、相続税が発生するようなら対策が必要になるケースもあります。
不動産は、建てる、壊す、売却する、行政手続き… 何をするにしても手間と時間がかかります。
守る不動産、活用する不動産、処分する不動産を明確にして、早めに対処するのがおすすめです。
また、個々の不動産について、権利関係などの確認もしておきましょう。
実態にあっていなければ早めに名義変更を。今後義務化の見通し
不動産の所有者(固定資産税の納税義務者)と名義人は、必ずしも一致しない場合があります。
多少実費はかかりますが、登記簿謄本を取得して、名義を確認しておきましょう。
もし権利関係が実態に合っていなければ、司法書士などに相談するなどして早めに解決したほうがよいです。
2021年現在、土地や建物の名義変更の手続きには義務や期限がありません。
罰則等もないので、名義変更せずにそのままになっている不動産も少なからずあります。
例えば、親が亡くなったあとの実家に、名義変更をしないまま子供が住んでいるような場合です。
そのままにしておくと、将来あなたが亡くなったあと、子供や孫がその家に住み続けられる保証はありません。
いつのまにか関係者が何十人にも増えて、事実上名義変更が難しくなり、解体も売却もできないといった状況になる可能性もありますし、たとえ名義変更できたとしても多大な労力が必要です。
不動産の名義変更には手間やお金もかかるため、ついそのまま放置しがちですが、時間がたつともっと大変なことになります。
次の代に面倒を先延ばししないように、ぜひ今のうちにきちんとしておきましょう。
なお、これまで義務のなかった土地の相続登記が、2024年をめどに義務化される見通しです。
これにより、期限や罰則規定も設けられます(3年以内、10万円以内の過料)。
法律の施行までまだ少し時間はあるものの、先延ばしにしてしまうと、さらに関係者が増えて手続きが複雑化する恐れもありますので、早めに取りかかりましょう。
未登記建物は登記したほうがよい
新築した建物は、取得してから1ヶ月以内に「表題登記」(どのような建物か、所有者が誰かなどの登記)の手続きをすることが法律で義務付けられています。
しかし、「表題登記」をしないまま放置されている建物は珍しくありません。
このような建物を「未登記建物」といいます。
未登記の建物にも固定資産税は課税されますので、未登記であることに気づいていない方もいるかもしれません。
未登記建物は、権利が明確でない、融資が受けられない、相続や売買の手続きが複雑、などのデメリットがあります。
老後のために未登記の自宅をリフォームしたいと思っても、融資が受けられないのでまとまったお金を用意しなければならない、売却の際に住宅ローンが組めないため買い手がつきにくいなど、のちのち問題が起こりえます。
そのため、近い将来、その建物を解体するつもりがなければ、未登記建物は早めに登記しておくことをおすすめします。
借りている不動産も記録しておくと尚良し
自分が所有しているものではなく、第三者から借りている不動産について記載しておくのもおすすめです。
賃貸マンションやアパート、駐車場、倉庫やトランクルームなどについて、所在地、借りた相手とその連絡先、月々の賃料、支払日など書いておくと、何かあったとき周りの人が助かります。
賃貸契約書があれば、一緒にまとめておくとよいでしょう。
まとめ
お疲れさまでした。
これで不動産に関しては一通り終了です。
作成した一覧表と、納税通知書や名寄帳・登記簿謄本、権利書などの書類を、あらかじめ決めておいた保管場所にしまってください。
今後は定期的に(最低年に1回は)見直して、必要があれば情報を更新しましょう。
不動産は大切な財産ではありますが、その他の資産状況や家族関係によっては「争続」の原因にもなりえます。
遺したほうがよいのか、処分したほうがいいのか、相続税対策は必要か…など考えなければならないことはたくさんあります。
不動産の整理には時間がかかりますので、早いうちに取りかかることをおすすめします。
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