この記事では、決算書の見方(読み方)ではなく、決算書の探し方を解説しています。
決算書を探すという作業は、決算発表当日に「良い決算」だったかどうか判断するために行うことが多いと思います。
「8-Kを探せばいいだけでしょ?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、8-Kを提出していない企業もあることはご存じですか?
他のサイトではあまり解説していない部分まで深堀りしてみましたので、ぜひ最後までお読みください。
\この記事でわかること/
・決算書の種類がわかる
・決算書の探し方がわかる
・お目当ての決算書を見つけられないときのヒントがわかる
米国株の決算の調べ方
四半期決算や年次報告書などの決算関連書類を探す方法としては2つあります。
・EDGAR(エドガー)で調べる
・各企業のIRサイトで調べる
EDGAR(エドガー)とは?
EDGAR(エドガー、Electronic Data-Gathering, Analysis, and Retrieval system)とは、上場企業の財務情報などを自由に閲覧できる米国の電子開示システムのことです。
米国で株式公開している企業は、法律によりさまざまな書類をSEC(米国証券取引委員会)に提出することが義務付けられています。
提出された財務諸表やその他の正式文書はSEC Filing(SECファイリング)と呼ばれます。
過去のものを含め、ほとんどのSEC FilingをEDGARを通じて入手することができます。
8-K?10-K?10-Q? SEC Filingの種類
企業は決められた様式(フォーム)でSEC Filingを提出します。
決算関連書類として、私たち投資家になじみが深いのは以下の3つです。
・Form 8-K(Current Report;臨時報告書、日本で言う決算短信を含む)
・Form 10-K(Annual Report;年次報告書、日本で言う有価証券報告書)
・Form 10-Q(Quarterly Report;四半期報告書)
8-Kは投資家へ重要事項を報告するための臨時報告書で、日本の適時開示に相当します。
決算発表当日には8-Kが開示されます。
決算短信としての8-Kは未監査(unaudited)の文書であり、監査を経た後に10-Q・10-Kとして提出されます。
監査を受けて修正が必要となった場合には、10-Qや10-Kで数値が訂正されることになります。
10-Qは、第1四半期(Q1)~第3四半期(Q3)決算の際に提出される四半期報告書です。
10-Kは、第4四半期(Q4)決算の際に提出される年次報告書です。会計年度1年分のデータがまとめてあります。
自分の知りたいデータによってどの種類の文書を見ればいいかが違ってきますので、最低この3つは覚えておきましょう。
決算発表直後にEDGARで8-Kを探す方法
自発的に決算書を見る方の多くが「決算発表直後に決算内容を確認して、投資の判断に役立てたい」と考えているはずなので、ここでは決算発表直後に決算書を探す方法をご紹介します。
①EDGARにアクセスする
②検索窓に「企業名(英語、ティッカーシンボルも可)」を入力する
③候補からお目当ての企業を選択する
④「Latest Filings」から「8-K」を選択する
(⑤8-Kの目次ページから「99.1」(本文)へのリンクを探し、クリックする)
それでは実際に、決算発表直後の8-Kを探してみましょう。
①まず、EDGARにアクセスします。
定期的に決算書を見る可能性がある方は、このページをブックマークしておくことをおすすめします。
②検索窓に「企業名(英語、ティッカーシンボルも可)」を入力します。
ここでは、最近2021年第4四半期決算を発表したエヌシーノ(ティッカーシンボル:NCNO)を検索してみます。
③「ncno」と入力すると下に候補が表示されますので、お探しの銘柄を選択します。
エヌシーノのページが表示されます。
④左のカラム「Latest Filings(最新の提出書類)」の中から「8-K」を探しクリックします。
エヌシーノの8-K(の表紙・目次ページ)が表示されました。
下にスクロールすると、リンクが貼ってある場所があるはずです(エヌシーノの場合2ページ目)。
⑤左の数字が「99.1」になっているリンクをクリックしましょう。
これで、エヌシーノの8-K(プレスリリース本文)に行きつきました。
前述した通り、この8-K(第4四半期決算)は未監査ですので、監査を経て、後日10-Kが提出されることになります。
過去の決算書の探し方
過去の文書の探し方も、前の項目の「決算発表直後にEDGARで8-Kを探す方法」とほぼ同じです。
EDGAR内の企業のページで、「Latest Filing」欄の下にある「View Filings(提出書類を見る)」を押すと、現在までに提出されている全ての種類の文書がページ下部に一覧で表示されます。
右側のカラムは「8-K」「10-K and 10-Q」など、種類ごとに分類されています。
「8-Kだけを見たい」という場合には、8-K欄の[+]をクリックすると直近数回の8-Kが表示されます。
もっと以前の書類を参照したい場合は、「View all 8-Ks(すべての8-Kを見る)」をクリックすると、現在までに提出された8-Kのみがページ下部に一覧で表示されます。
8-K=決算短信 ではない!過去の8-Kを探すときの注意点
過去の8-Kを見ているとき、思っていたような決算データが載っていないということはありませんか?
8-Kは臨時報告書ですので、開示すべき重要なイベントがあるたびに提出されます(企業買収、行政処分、業績の修正、公募増資、取締役の退任など)。
したがって、8-Kには決算情報以外のさまざまな文書も混ざっています。
8-K=決算短信 ではないのです。
決算短信としての8-Kを探しているのであれば、「2.02 – Results of Operations and Financial Condition」という項目が記載されているものを探しましょう。
EDGARで8-K・10-K・10-Qがみつからない!?
EDGARでいろいろな企業を調べていると、8-Kや10-Qなどがみつからない!ということがあります。
考えられる理由としては2つあります。
①IPO(新規上場)したばかりの会社で、一度も決算発表をしたことがない
②(米国以外の)外国企業である
①の場合、いずれ決算発表が行われれば8-Kなどの文書も登録されますので心配いりません。
②米国以外に所在している外国企業の場合、8-Kや10-Qの提出は義務づけられておらず、米国企業とは違った書式でSECに報告を提出する場合があります。
したがって、8-Kや10-Qが見つからない場合は以下の書式を探してみてください。
・Form 20-F(年次報告書・移行報告書、表紙ページのチェックボックスで確認できる)
・Form 6-k(臨時報告書)
企業のIRサイトから決算書を探す方法
IR活動の一環として、最近ではほとんどの企業のIRサイトでSECに提出した文書と同様のリリースが決算発表当日に掲載されます。
しかし、まれに決算報告が見つからないこともあります。
また、直近の決算は掲載されていても、それ以前のものは掲載終了になっていることが多いです。
その場合は、前述したEDGARで探しましょう。
企業のIRサイトは、Googleなどの検索サイトで「企業名(英語、ティッカーシンボルも可) IR」で検索すれば、上位に表示されます。
下記の記事では、IRサイトから決算関連書類を探す方法を画像付きで説明しています。
(目次から「①決算発表時のプレスリリースの中でガイダンスを示している場合」に飛んでください)
まとめ:米国株の決算書はEDGARで探すのが確実!
今回は、企業の決算関連書類を探す方法を解説しました。
EDGARは、企業の過去の決算やその他のイベント・ニュースを調べることができる便利なサイトです。
ぜひ使い方をマスターして活用してください。
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