長期金利の動きに警戒して!
— じっちゃま (@hirosetakao) November 16, 2020
じっちゃまのtwitterをフォローしている人なら、一度はこのようなツイートを目にしたことがあると思います。
米国株投資をするのであれば、「長期金利」のチェックは絶対に欠かせません。
この記事では、じっちゃまが連呼する長期金利とは何か、なぜじっちゃまが長期金利に注目するのか、わかりやすく説明していきます。
\この記事でわかること/
■市中金利、短期金利、長期金利とは何かがわかる
■長期金利に注目すべき理由がわかる
じっちゃまが長期金利に注目する理由とは?
結論から言うと、長期金利が上がると、株価が下がるからです。
これを理解するためには、市中金利/短期金利/長期金利について知っておかなければなりません。
市中金利とは
市中金利とは、金融市場などで適用されている金利のことです。
民間の金融機関の貸出金利や預金金利のほか、金融機関同士の取引で使われる金利などを指します。
市中金利には、「短期金利」と「長期金利」があります。
「短期金利」:金融機関が1年未満のお金を貸し出す際に適用する金利
「長期金利」:金融機関が1年以上のお金を貸し出す際に適用する金利
ザックリした説明すぎて、よくわかりませんね…
それでは、「短期金利」と「長期金利」、具体的に何を指しているのか解説します。
短期金利とは
気になる「長期金利」を理解するために、まずは「短期金利」とは何なのか見ていきましょう。
「短期金利」とは、フェデラル・ファンド金利(FFレート)のこと
「短期金利」とは、フェデラル・ファンド金利(FF金利、FFレート)のことです。
いきなりフェデラル・ファンド金利と言われても、何のことだかさっぱり分かりませんよね(笑)
米国の民間銀行は、米国の中央銀行である連邦準備銀行に一定の準備金(フェデラル・ファンド)を預け入れることが義務付けられています。
各市中銀行は義務付けられた準備金を維持するために、資金が不足する場合は他の市中銀行から借りて調達します。
また資金に余裕のある場合は、その資金を他の市中銀行に貸して利子を得ようとします。
その市中銀行間の1年未満の資金のやりとりの場である短期金融市場の金利が「フェデラル・ファンド金利(FFレート)」と呼ばれるものです。
短期金利は政府の金融政策に左右される
連邦準備銀行は公開市場操作によってFFレートを連邦準備制度理事会(FRB)の決定した政策金利に誘導します。
つまり、短期金利(FFレート)= 政策金利 であり、短期金利は政府の金融政策に左右されるということがおわかりいただけると思います。
ニュースなどで聞く「利上げ」「利下げ」とは、政策金利を引き上げる・引き下げることを指します。
ちなみに、政策金利の利上げや利下げの判断は連邦公開市場委員会(FOMC)で決定されます。
FOMCは、FRBの理事や地区ごとの連邦準備銀行総裁で構成されており、アメリカ連邦政府の金融政策を決定する最高意思決定機関です。
約6週間ごとに年8回、定期的に開催されるほか、必要に応じて随時開催されます。
長期金利ってなに?
次に、「長期金利」についてみていきましょう。
長期金利とは、米国10年債利回りのこと
「長期金利」とは、米国10年債利回り を指します。
1年超の資金のやりとりの場である「長期金融市場」の代表例は、株式市場と公社債市場(債券市場)です。
そして、債券市場で取引される10年物国債の利回りが「長期金利」の指標とされています。
1年超の米国債には、2年/3年/5年/7年/10年/30年など償還期間によっていろいろな種類がありますが、みんなが10年物国債の利回りを指標にしているので、素直に従いましょう。
新聞やテレビなどで報じられている「長期金利」も、10年物国債の利回りを指します。
長期金利は市場参加者のインフレ期待を反映している
長期金利は、短期金利(FFレート)に将来の物価上昇率(インフレ率)などを加味しながら市場で決定されます。
つまり、長期金利は、市場参加者が各自考える、今後のインフレのシナリオに左右されるということです。
次のように考えるといいかもしれません。
政策金利(短期金利)+ インフレ期待 = 長期金利
ザックリした考え方を示すと、長期金利は二段に積み上がった「積み木」と言えます。
一階部分は米国の政策金利であるFFレート。
これに「積み木」の二階部分を足したものが、長期金利だと理解できます。
その二階部分は「投資家が、将来のインフレ率について、どういう意見をもっているか?」で決まります。
むずかしい言葉でいえば「期待インフレ率」です。
一般的に、景気がいいときにインフレになります。
ですから、政策金利が引き上げられなくてもインフレ期待が上昇すれば長期金利は上昇します。
逆に、政策金利が引き上げられたとしても、今後景気が悪くなる(インフレ期待が低下する)と市場参加者が考えれば、長期金利は横ばい、あるいは下がるということもありえます。
現在の長期金利の水準は?
これは米国10年債利回りの長期推移を示したチャートです。
2021年現在の長期金利が、歴史的に見て非常に低い水準にあるということがわかります。
一方で、長期金利が一番高かった1981年9月には15.82%という驚異の数字をつけています。
(参考)Investing.com アメリカ10年債券利回り
https://jp.investing.com/rates-bonds/u.s.-10-year-bond-yield
市中金利と株価の関係
なぜ、じっちゃまが「長期金利」について何度も言及するのか?
それは、市中金利と株価バリュエーションは「シーソー」の関係にあるからです。
金利と株価は「シーソーの関係」にある
市中金利と株式バリュエーションは「シーソーの関係」にあり、一方が上ると他方は下がります。
つまり、市中金利が上がれば、株は下がります。
ここでいう市中金利とは「長期金利」のことです。
株式には償還がない=償還期限が無限に長い債券 とみなせるため、株式は(しいて言えば)「長期金利」と同類だと考えることができるからです。
市中金利=利子と考えると分かりやすい
市中金利 =「銀行にお金預けた時の利子」をイメージすると分かりやすいと思います。
いま銀行にお金預けたら、たくさん利子がつくか?
市中金利が限りなくゼロに近い今、利子はほとんどつきません。
銀行などにお金を預けていても、手数料を取られるだけで、なんの利殖にもならない。
少しでも有利な運用先を求めて、お金は株式市場へ流れます。
反対に、利子がたくさんつくなら?
「リスクを冒さずに年率15%のリターンが得られるなら、馬鹿馬鹿しくて株式投資なんてやってられるか。銀行にお金を預けたほうがいい!」
お金は株式市場から引き上げられ、市場は冷え込みます。
これが「シーソー」になるカラクリです。
米国株に投資するなら、長期金利のチェックは必須!
金利と株価の関係をなんとなく理解していただけたでしょうか?
じっちゃまが長期金利に注目している理由は、「金利が上がれば、株価は下がる」からなのです。
時間がなくてしっかり読めなかった…という人も、とりあえず「長期金利が上がれば、株価は下がる」というのを頭の片隅に置いておいてください。
投資戦略を決めるためにも、まずは長期金利を必ずチェックする習慣をつけましょう。
まとめ
・短期金利 = 政策金利 = FFレート
・長期金利 = 政策金利 + 期待インフレ率 = 米国10年債利回り
・金利が上がれば、株価は下がる
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